越中料理物語越中料理物語

かぶらずしかぶらずし

漬け込んで風味を醸す伝統の寿司

寿司といえば思い浮かぶのは、にぎりやちらし。富山でも新鮮な地物にこだわった「富山湾寿司」などが話題を集めていますが、伝統ある「かぶらずし」もぜひ味わっていただきたい越中料理です。

かぶらずしは、なれずしの一種です。カブを2cmほどの厚みの輪切りにし、小さいカブなら半月、大きいものはイチョウ形に切って塩漬けにします。カブの厚みの真ん中にあらかじめ切り込みを入れておき、魚の切り身を挟んで、さらに麹(こうじ)に漬け込み発酵させます。

カブに挟む魚は地域によって違いが見られます。石川県ではブリが一般的ですが、富山県西部ではサバを挟むことも多く、県東部ではサケも用いられます。地域の人々がそれぞれの食文化を生かしながら、伝統の味を育み伝えてきたのです。

いずれの魚も脂がのった旨味が、さわやかな甘みのカブにしみ込み、麹のふくよかな酸味がプラスされて、独特の豊かな風味が醸し出されます。

かぶらずし

純白の大カブに蓄えられたおいしさ

カブは富山県内一円で栽培されていますが、なかでも砺波市、南砺市にまたがる砺波平野は、“大カブ”の産地として知られています。店頭に多く並ぶ小カブが約150gであるのに対して、大カブは1kg以上、なかには5kgを超える大物もあります。また富山市郊外の里山に広がる音川地区の大カブは京都の千枚漬けにも用いられています。

大カブのおいしさの理由は、同地区の粘土質の土壌にあるといわれます。粘土が成長をほどよく邪魔するために、カブはじっくりと育ちます。時間をかけて成長する間に、きめ細かい肉質となり、甘みが蓄えられていくのです。雪のような純白の実の、しゃっきり感とやわらかさを兼ね備えた歯触りは、富山のかぶら寿司の特長です。

砺波平野

お酒にも、ご飯にも、絶妙の相性

起源には諸説あります。江戸時代に加賀藩主・前田家のお殿様が湯治に出かけた温泉で献上されたのが始まりとする説。また農家が正月にブリを食べるとき、贅沢をはばかってカブで隠すように食べたことに由来するという説など。いずれにせよ江戸時代から郷土料理として浸透し、親しまれてきたようです。

また千切りや花型のニンジンと一緒に漬け込むので紅白の彩りが美しく、富山のお正月に欠かせない一品でもあります。年の瀬に漬け込んでおくと、正月には味がなじんで落ち着き、ちょうど食べごろとなります。最近は手作りする家庭は少なくなりましたが、富山ではスーパーの惣菜コーナーや土産店などに並んでいるので、気軽に買うことができます。酒の肴にも、ご飯にも、相性のよいかぶら寿司は、時代を越えて人々に愛され続けるふるさとの味です。

レシピ紹介!かぶらずしレシピ紹介!かぶらずし

材料4人分

かぶら(白カブ)15センチほどのもの・8個
ブリの重量の10%とカブの重量の3%
ブリ塩漬け鰤の薄切りを16切れ
0.4キロ、米4合、炊飯して約1.2キロほど
ニンジン適量
かぶらずし
  1. (1)ブリを重量の10%の塩で塩漬けする。約2週間ほど2〜3倍の重石を乗せる。
  2. (2)糀0.4キロと、ご飯1.2キロを混ぜ合わせて2〜4時間保温する。
  3. (3)カブを縦に2つ切りにして、2センチくらいの厚さに切る。
    ブリをはさむために3/4まで包丁で切り、カブの重量の3%の塩で、重石は約2倍にして3〜4日漬ける。
  4. (4)水分が抜けた塩漬けのカブの間に薄切りにした塩漬けしたブリをはさみ込み、米こうじをたっぷり乗せる。
    米こうじの上に細切りにしたニンジンを散らして1週間〜2週間漬け込み完成。

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